初期の作品(1957~1969)
長崎海星高校卒業と同時に単身で上京し、19歳で独立展に初入選しました。その頃は、長崎の洋館の風景などを描いていました。2年後、抽象画に転じます。
子供部屋(1970~1973)
東京都練馬区石神井公園の近くに小さなアトリエを構えて数年後、続けて二人の娘が誕生しました。その頃から、ぬいぐるみや木馬など子供部屋の風景を描きました。
五島の夜の海(1974~1980)
1974年から、生まれ故郷の海を背景にした心象風景を描きました。子供の頃、父親とイカ釣りをした夜の海が、浮かび上がっています。板作りの桟橋は、かつて実際に用いられていたもので、後年の作品に至るまで繰り返し登場するモチーフです。
昼の風景(1981~1988)
1981年以降、夜の海から一転、明るく色彩豊かな、昼の風景を描きました。この時期に独立展の最高賞である独立賞を受賞し独立美術協会の会員(審査員)になりました。
昭和史(1989~1998)
1989(平成元)年以降、戦争と平和をテーマにした「昭和史」を描きました。戦後間もなく、戦禍の残る長崎市内の風景をスケッチして過ごした高校時代の体験が原点になっています。ここでは、五島の海が再び登場します。小さく美しきものの象徴として描かれた人形は、以後の連作において「天使」へと昇華していきます。
隠れキリシタンの洞窟(1999)
「昭和史」シリーズを終えた翌年、隠れキリシタンの祈りの場となった洞窟を描きました。この翌年から、最後のシリーズ「天使の連作」が始まります。
天使の連作(2000~2005)
2000年から、ヨーロッパの街並みを鳥瞰する構図で、天使の視点から見た世界を描きました。
2003年、心筋梗塞による3回の入退院を経てもなお200号の大作(およそ2.5m×1.9m)を描き続け、晩年の「アンジェラス」、未完の「春」へと続きます。クリスチャンである笠松が、祈りを捧げ、自らの信仰を告白する作品です。
その他
「曙光(期待)」は娘の結婚を機に描かれた作品です。小品では、フランス人形やバラを多く描きました。
(参考)各地の美術館の収蔵作品
笠松作品は、以下の他の美術館にも収蔵されています。
- 長崎県美術館
- 「昭和史(Nagasaki.Japan.11:02am.August9.1945)」 1995年 (150F)
- 「旅序章」 1983年 (150F)
- 練馬区立美術館
- 「長崎のみやげもの屋」 1957年 (50F)
- 「夕べの序章」 1983年 (100S)
- 「春序章」 1984年 (150F)
- 青梅市立美術館
- 「無題(自画像)」 1957~1958年頃 (15F)
- 「無題(天使)」 2005年頃 (15F)